第102回:プロの魂(2002/5/21) | |
かれこれ1ヶ月前の話になってしまいましたが、 私の連れと大阪・名古屋に旅行に行ってきました。 大阪の方は新鋭テーマパーク『USJ』に遊びに行く為、 名古屋の方は劇団四季ミュージカル『異国の丘』の名古屋公演千秋楽を観に行く為で、 あの感動と九重秀隆を演ずる石丸幹二の勇姿を目に焼き付けておこうかな、と。 『異国の丘』は私の拘りからすると言うまでもないのですが、『USJ』も面白かったです。 世界観を損なう外観とかもありませんし、見事なユニバーサルワールドを確立しています。 テーマパークとかに不慣れな私でも十分楽しめました。 東京(実際は千葉)にある某ネズミ系テーマパークとは似て非なるものですね。 よく「どっちが面白いか?」とか聞かれますが、夫々の好みを別にすると比べ様がありません。 そもそもテーマパークの題材となっているものが全然異なるのですから。 要約して言えば「題材がキャラクターか人か」ということ。 シュワルツェネッガーがテーマパーク内を徘徊していて 入園者に笑顔を振り撒いたり写真撮影に気軽に応じているのは変ですし、 逆にミッキーマウスが特殊効果バリバリの炎の中で踊る姿を見るのも変です。 それぞれの良さ・持ち味を上手く表現していてどちらも私は好きですね。 ちなみに、食事に関してはUSJにちょっとだけ軍配を上げましょう。 何故かはヒミツですが。 その『USJ』と『異国の丘』で共通する非常に印象に残ったものがありました。 それがタイトルにもあるプロの魂です。 まずはUSJの話。 とりあえずアトラクションを観終わり、次のアトラクションを目指して歩いていた時のこと、 通りを少し外れた所から突然陽気な音楽が聞こえてきました。 目を運んでみると結構な人だかりが出来ていまして、何かのパフォーマンスを行っている様子。 そして、その人だかりの間から近鉄のウィルソンみたいな人が目に飛び込んできました。 直感的に「これはヤバいぞ」と思った私は足を速め、人だかりの隙間から覗いてみると そこには無表情で演奏する5人のウィルソンがいました。 これだけでも嬉しい私でしたが、何故か観衆の目はウィルソンの方に向いていません。 「それ以上のインパクトのあるものがあるのか?」と期待を込めてその視線の先を辿ってみると、 なんと、マッカーサーもどきが一心不乱に踊っているではないですか! 超人機メタルダーよろしく「こいつは凄いぜ!」状態で私も興奮してしまいました。 このマッカーサーもどき、実に動きが怪しいんです。 所狭しと縦横無尽に動き回るわ、よく分からないポーズを決めるわ、欽ちゃんジャンプはするわ。 しかも笑顔で。 もう隙がありません。 私も狂喜乱舞して写真ガンガン撮っちゃいました。 (この時の写真がUSJで撮った全写真の6割を占めていた) でも、冷静に考えてみると凄いんです。 観衆全員が音楽に合わせて手拍子をし、楽しそうにマッカーサーもどきを観ているのです。 観ている人の心を掴むということ、簡単なことではありません。 そして、それを毎日続けているのです。 何故みんな惹かれるのか、パフォーマンス後の写真撮影に長蛇の列ができるのか、 やはりプロがプロの誇りを持ってプロのパフォーマンスをしているからだと思います。 私はこのマッカーサーもどきからプロの魂というものを教わりました。 ウィルソン×2とマッカーサーもどき マッカーサーもどきwithウィルソン×5で。 USJは「人が演じる」というというアトラクションが多い分、 プロの魂を教えられたものが他にも沢山ありました。 行ってない方の為に詳しくは伏せておきますが、 ウォーターワールドやT2は失敗が許されない生身の人間が演じているアトラクションであり、 そんな状況下で観衆の目を釘付けにしてしまうアトラクションを作り上げています。 これは一度味わってみないと実感が湧かない感動ですね。 この辺はミュージカルと一緒かもしれません。 そして異国の丘。 石丸幹二をはじめとする役者の方々のプロの魂に改めて感動させられました。 (この作品については別のコラムで散々素晴らしさに触れていますので説明は省きます) 100回以上の公演を続けていたこの作品、 千秋楽を迎えてもそのクオリティと感動は勿論変わりませんでした。 期間的には東京公演と合わせると半年強、 その間はベストのコンディションを保たなければならない訳です。 ただ舞台に上がるだけではありません。 公演期間中には雑誌・新聞・テレビ・ラジオのインタビューがあります。 また、公演中でもより良いものにする為に演出や台詞が改良されるそうで、 台詞を覚えたり、リハーサルを行ったりする時間もあるはずです。 自分の休暇時間の使い方ですら気を使わなくてはなりません。 (これらは異国の丘に限らずですが) そういうことが根底にあっての舞台なんですよね。 そう考えると、役者が演じる一つ一つの動きにより説得力が生まれます。 そして、それがフィナーレを迎えるまで持続していること、 やはりこれはプロの魂の賜物だと思います。 「プロだからそのくらいできる」「プロだからそのくらいできなきゃ」という見方も出来ます。 ですが、その裏には血の滲むような努力とプロのプライドがある訳で、 それを観衆の喜びに還元すること、それは並大抵のことではないと思います。 そしてそれを持続すること、更に並大抵のことではないと思います。 そんな貴重な体験をした非常に有意義な旅行でした。 <余談> プロ野球を良く観る方であれば、この感覚は分かると思います。 選手のプレイ一つ一つにプロの魂が凝縮されているわけですからね。 やる気のない姿は一般人が観ても分かりますし。 なお、一歩抜けたプロの魂を感じるのがヤクルト・稲葉選手と横浜・佐伯選手ですね。 守備位置まで必ず全力で走るのがヤクルト・稲葉選手。 トラッキーにジャイアントスイングを見舞い観客を沸かせるのが横浜・佐伯選手。 古くは巨人・長嶋茂雄や広島・達川選手、大洋・市川選手がその代表的存在ですね。 プロの魂を見せてくれる(た)選手だと思います。 |