第136回:携帯電話(2003/01/16)


先日、友人達と話をしていたとき、
「自分の子供に携帯電話を持たせるとしたらいつから?」
という話題で盛り上がりました。

既に「あると便利なもの」から「ないと不便なもの」に変わりつつある携帯電話。
法律で「xx歳以上から」という規制がないものなので、
現状各々の必要性に応じて持つようになるのが一般的です。
(必要性は「仕事」「遊び」「みんな持ってるから」など様々)

この一般的な部分を皆さんどう考えているのでしょうか。
とりあえず私はこう考えています。
※勿論、今の携帯電話事情に基づいての意見ですのであしからず。

 自分に支払い能力があるのなら高校生から
 なければ大学生から

恐らく、厳しいと思われるのではないでしょうか。
一応「xxxx円までは負担するけどオーバーした分は自分で負担」のように
高校生から携帯電話を許可する妥協点を見出さない訳でもありません。
バイトの給料であれ月の小遣いであれ、兎に角「支払い能力がある」ことが大前提です。

大学生になったら、もう自分自身で管理してください、の世界。
持つのは自由、文句も言わない、でも一銭も負担してあげません。
勿論、仕送りor小遣いを支払いに当てるのも問題なし。
ただし、それで足りなくなった生活費は自分で稼いでもらいます。

断っておきますが、携帯電話そのものに否定的ではありません。
むしろ、自分から進んで持つようになって欲しいです。
学生の内に携帯電話を持つことは、
自己管理能力を身に付ける一つの良い切っ掛けだと思っていますから。

ただし、小学生・中学生のうちは絶対に持たせません。
例え桂木弥生が御願いしてもダメです。
必ず家の電話を使え、と。
それこそ頑固一徹な親父になります。

確かに、上記の理由からすれば月の小遣いを支払いに当てるなら問題はありません。
自己管理能力を身に付けられることを考えれば、妥協点を見出す価値もあるでしょう。

しかし、私がダメという理由は別にあります。

まず、小学生・中学生なら相手と直接会話ができる環境が沢山あるから。
狭い範囲で校区が分けられている小学校・中学校だからこその恵まれた環境であり、
逆に校区が大幅に広がる高校や校区の無い大学ではその環境が必然的に減ってしまいます。
会話は字が示す様に「会って話す」ということ。
会って話していない電話では相手の喜怒哀楽の表情や仕草まで分からないですし。
当然面と向かう事によっての会話を訓練して貰いたい意味合いもあります。
別に電話で話す事が会話ではないとは言いませんが、
面と向かっていないことで、絶対に会話の楽しみは半減しているでしょう。

校区が拡大した際に友達との連絡が電話になるのは仕方ないのですが、
(そりゃ私も熱海の友達に用件伝えるのに沼津から足を運ぶのは無茶でしたし)
校区が狭いうちは、それこそ、自分の足で用件を伝えて来い、と言いたいです。
電話は家にいるかどうかの確認だけにしろ、と。
実際、中学校の頃は電話で話すよりも直接会って話したほうが楽しかったですし。

また、その家にいるかどうかの確認も、
相手の家にかけることによって、礼儀を身に付けることにも繋がります。
家の電話なら誰が出るか分からないのです。
相手の親が出たときにはきちんとした言葉遣いで用件を伝えなければなりません。
礼儀はこういった経験を経て身に付くのが自然かと。
携帯電話で直接相手にかけることは、こういった機会をみすみす逃していると言えます。

それに、御互いの親同士の接点が持てるという利点もあります。
私が友人の家で遅くまで遊んでいて帰ってこないとき、
当然私の親はその友人の家に電話をかけてきました。
その際、挨拶から雑談に至るまでの親同士のコミュニケーションが生まれます。
このコミュニケーションが大事なんですよ。
以前話した「コウモリ四人組」という称号も、
それぞれの親が信頼してくれた背景があったからこそ付けられたものだと思います。

本人の携帯電話に直接連絡するようになったら、その接点は生まれません。
せめて狭い地域くらい親同士のコミュニケーションが欲しいものです。
この大切さは自分が大人になったとき分かりますね。

私は小学生・中学生で携帯電話を持たせてしまうことが、
こういった「小学・中学だからこそ」の環境をみすみす放棄することになると思います。
私的にそれは勿体無いかな、と。
この環境をフルに活用したからこそ、今の私があるのだと思いますし。
(いや、服がどうのこうのの私ではなく、人間としての私という意味ですよ)

と言う訳で、私は高校に入るまで息子(娘)には携帯電話を持たせません。
自己管理能力を身に付けるより先に、身に付けて欲しいことが沢山あるのです。

ただ、校区が広い私立小学校や私立中学校だとどうなんでしょうね。
公の機関へ通った私にはどうにも判断できませんが、
少なくとも携帯電話が「あると便利だった」時代なら問題はなかったんじゃないでしょうか。


<BGM>
  明日への祈り
 [ 劇団四季オリジナルミュージカル 異国の丘 / 劇団四季 ]