第218回:Zac.'s 風雨来記 in みちのく(2004/10/05)





残念ながら花札も秘湯も恋もありませんでしたが
私用も兼ねて青森へ旅行に行ってきました。
(タイトルで「みちのく」と大きく出ていますが、実は青森県しか回っていません)

避暑と言うには遅く紅葉と言うにはまだ早い9月末、東京発のはやてに乗って青森の地へ。
私が旅行をすると大概は青森県を飛び越えて北海道に行ってしまうので
青森の地を踏むのは実はこれが初めてだったりします。

とりあえず事前知識として持っている私の青森のイメージは、
「りんご、恐山、ねぶた、十和田湖、青森山田高校」くらい。
こうなったら青森県を思いっきり堪能してやろうと
旅行雑誌や青森出身者から事前に情報を収集したのですが、
結局私のイメージ通りの情報しか集まりませんでした。

まあ、旅の醍醐味は新しい発見や突発的な出会いなどにあり、
事前情報なんか飽くまで目安として用意しておくだけのものですからね。
本来は摩周湖で時坂樹に出会うような運命を楽しむものなのです(←大間違い)
綿密なスケジュールを組んでも、何故か十和田湖で時坂樹に出会ってしまったら
スケジュールは全部無駄になってしまうことが確実ですし、
そもそも東京へ戻らず時坂樹と愛の逃避行(以下略)

と言う訳で、今回の旅のポイントをつらつらと紹介していきたいと思います。


<ワイルド青森>

休憩を取ろうとある道の駅へ寄ったときの話。
この道の駅はキャンプ場などのレジャー施設を併設した場所だったのですが
ゴーカートやテニスやローラースケートに混じってこんなものがありました。




魚のつかみ取り

そんなのやったことねえよ!!
道具に一切頼らず、己の持つ2つの手だけを信じて魚に立ち向かわせる。
その心意気はまさに漢!!

日本という国は大都市部を除けばどこも自然が豊富な土地だと思いますが
その中でも青森は自然との距離が近い非常にワイルドな場所だなあと感じました。
普通はあっても釣堀くらいじゃないでしょうか。


<十和田湖>

日本で何番目に大きいかは知りませんが巨大な湖、十和田湖。
(大きさでは1番が琵琶湖、2番は霞ヶ浦だったはずなので3番以降になりますか)



そのスケールは十和田湖の周りを運転して実感しました。
湖沿いの道路は殆どが山道になっており登ったり降りたりするので
体感以上に広いと言う事はないと思いますが、それでもデカい。
これが度重なる火山の噴火により長い年月を掛けて形成されたものだと思うと
改めて自然の力って凄いなあと関心してしまいます。

微妙なシーズンのため観光客もあまり多くなく
静かな湖畔でアンニュイな午後を演出できるかなあと思ったのですが、
これでもかと言わんばかりに遊覧船が走るため願いは叶わず。
何より遊覧船の速度が速いんですよね。
あまりに速すぎてスワン轢きそうになってるし(笑)
スワン乗る人も命懸けです。

あと十和田湖周辺では、



この高村光太郎最後の彫刻作品「乙女の祈り」像や、



巫女のいない「十和田神社」などを観てきました。


<奥入瀬渓流>

十和田湖の後は流れるように奥入瀬渓流へ。
それはまるで十和田湖の水の流れに乗っているかのようでした(座布団一枚)

あんまり信じてくれないかもしれませんが、
私は綺麗な『水』を見るのが大好きな人間でありまして
中でも時に静かに時に激しく流れる様を楽しませてくれる渓流美には目がないです。

と言う訳で、わざわざ自転車を借りて
子の口〜焼山まで渓流を堪能しながら約14kmのサイクリング。
自転車に乗ったのは久しぶりでしたが
昔はママチャリの運転は誰にも負けない自信がありましたので無問題。
やっぱり昔取った杵柄というのは大事なんだと実感しました。

しかし美しい川を横にして緑の中を颯爽と走ることの何と清々しいこと。
澄んだ空気と心地良い風、川のせせらぎに滝の流れる音、
そういった自然の恵みが日々積もった精神的な疲れも癒されます。
実際、車の数が多くて大変だったんですが。

途中、川や滝の写真を撮りまくる私。



一応、要所要所で「雲井の滝」とか「阿修羅の流れ」とか名前が付いていまして、
一つ一つ感動しながらシャッターを押していた訳ですが、
案の定、改めて家に帰って観てみると
何処を写した写真なのかサッパリ分からなくなっていました。

これ、いつもやっちゃうんだよなあ・・・


<霧の十和田湖>

弘前方面に抜けようと十和田湖の周りを走っていたとき、
突然天気が様変わりしてあっという間に濃霧に包まれました。
念入りに前方を確認しながら走っていると車のヘッドライトが見えたので
「ああ対向車だ」と少しスピードを緩めたのですが、
こっちに向かってる気配はなく、どうも道路に停まっている様子。
丁度カーブになっていたので「ここに停めるのは危ないなあ」と思いながら横を通ったら
道路に停まっているのではなく側溝(?)にスッポリと落ちているではありませんか。

車を安全な場所に停めて急いで駆けつけてみると
運転手は無事で既に前に通った車に連絡をつけて貰っているとのこと。
「気を付けてください」と声を掛けてその場を離れましたが、
こんな携帯も届かない車もなかなか通らない霧に包まれた場所で
自分が同じ目に遭ったらと思うとゾッとしますね。
安全運転の重要性を改めて実感した出来事でした。
私の運転を知っている方には全然説得力ないですけど。


<津軽三味線>

私の会社で働く弘前出身の御姉さまから
「弘前行ったならここで三味線聴いてきなさい」と紹介されまして
山唄という知る人ぞ知る飲み屋兼ライブハウスへ行ってきました。

いや、やっぱり三味線ってカッコイイですね。
音もそうですけど弾いている人の真剣な表情や格好も全て。
HR/HMのギターに通じるところがあると思います。
(ギルティギアの梅喧の曲もHR/HMに三味線をフィーチャーしてますし)
ソロ演奏・合奏・民謡などを交えた1時間くらいのライブでしたが
瞬きも許さないくらいの勢いで見事に聴き入ってしまいました。
酒も食事も美味しかったですし弘前に来たらまた行きたい場所No.1ですね。
私も自信を持ってお勧めできます。

なお後日談ですが、紹介してくれた御姉さまに「行きましたよ」と報告したところ
「やっぱり良かったんだ。私は行ったことないんだけど。
とツッコミどころ満載の言葉が返ってきました。

あんた、行ったことないんかい!


<りんご狩り>

青森まで来たならこれをやっておかないと
ということでりんご狩りを体験してきました。
私は「狩り」と聞くと、こう殺伐なものを想像してしまうのですが、
実際は脚立を駆使してのんびりりんごをもぎ、
その場で食べたりグラム単位で買ったりするだけのまったりしたものでした。
や、当たり前なんですけどね。

味の方は今更詳しく書く必要もないでしょう。
本場青森でりんごを食べている訳ですから当然美味いです。

問題はりんご狩りの場所にいた従業員(?)のおばちゃん。
私が行ったときには「つがる」が食べれる頃合でつがるの場所に案内されたのですが、
四方八方りんごの木なのでどこまでがつがるなのかイマイチ分かりません。
明らかに違いの分かるものもありますが、
見たくれはソックリでも品種が異なったらマズいなあ
食べ頃前のりんごを狩ったら申し訳ないなあと。
で、近くを通った従業員(?)のおばちゃんに連れが聞いてみた訳です。

 連れ「この木は『つがる』ですか?」

 おば「ああ、そうだよ」

  私「ありがとうございます。
    素人目では全然分からないんで助かります」

 おば「実は私もよく分かんないんだよ


分からんのかい!!
先の御姉さまもそうですが、青森県は素敵な人がいっぱいだと思いました。


<弥生いこいの広場>



他に何を言うことがありましょう。

ちなみに弥生いこいの広場の動物園にいたキツネ。
超ラヴリィ。




<八甲田山周辺〜城ヶ倉大橋〜>

写真だとどれだけ臨場感が伝わるか分かりませんが
とりあえずこいつを見てください。



一面に広がる雄大な緑、吸い込まれそうなほど深い谷、
そして造ったのがバカ(褒め言葉)だと思う巨大な橋。
恐らく今回の旅行で一番感動したのがこれです。
スケールの大きさにただただ圧倒されました。

紅葉のシーズンは凄い綺麗だろうねえ、なんて連れと話していたら
やっぱりJR東日本の紅葉シーズン観光用ポスターに使われていました。

目が眩むほど綺麗なんだろうなあ・・・
目が眩むほど観光客もいるんだろうけど。


<櫛引八幡宮>

八戸にある鎌倉時代に遷宮鎮座された由緒正しい古社です
この日は連れに用事があったため単独で訪れました。

 

ここでは国宝の『赤糸縅鎧』『白糸縅褄取鎧』を観ることができます。
青森県の国宝はこの二つしかないことからも
以下に由緒正しいかがお分かりになられるかと思います。
こういった歴史的資料は大好きな人間ですので早速拝観してみることに。
(文化史は苦手でしたけどね・・・)

しかしドキドキワクワク意気揚々と国宝館の前に来たのですが、
入口はきっちり閉まっており扉には「社務所へお越しください」の貼り紙。
あんまり力入れてなさそうな扱いにちと興が削がれた感を抱きつつ、
仕方ないので社務所へ行って受付のおじさんに拝観希望を申し付けました。
拝観する人間はあまりいないのか、おじさんは明らかにビックリした顔つきで応対。
拝観料を払った後、「今開けますから」とだけ言って鍵を取りに席を外すおじさん。
ここで少し待たされたため「こんなんで大丈夫なのかなあ」と思っていると、
なんと鍵を持って出てきたのは奥にいた巫女さんではありませんか!!!
てっきりおじさんが出てくるものかと。
いや、非常に素晴らしい応対です(←単純)

さすがに国宝の説明は無機質なテープによるものでしたが
見学中は国宝館で巫女さんと一つ屋根の下のパラダイス。
まあ、私が見学している間は入口で待っていましたので
大きな接点は国宝館を開ける時と閉める時だけでしたが。
「君の着ている服も国宝にするべきだ」という展開にはならなかったので御安心を。
短い時間でしたが非常に素晴らしい経験をしました。
あ、国宝も良かったです。

なお、連れと合流したらとりあえず行ってみようということになり、
結局のところ一日に二回も足を延ばすことに。
国宝館を開けてくれた巫女さんと目を合わせると
「何だこいつ二度も来やがって。しかも今度は女連れかよ。」
と言わんばかりの不思議そうな目で見られました。
これも実にいい想い出です。


<太平洋を堪能する>

とりあえず海沿いは曇っていたので寒かったです。
晴れと曇りの温度差が激しいと思います。

 

左上は『蕪島』というところでウミネコの繁殖地として有名です。
シーズンではありませんでしたが私が行ったときも数羽おりました。
地名に『島』が付くように昔は島だったところを埋め立てて陸続きにしたそうです。

右上は『葦毛崎展望台』から太平洋を眺めた様子です。
真下には岩を縫うように咲き乱れる白い花(忘れた)が綺麗でした。

下は波打ち際まで美しい芝生が続く『種差海岸』。
寒くて海岸まで下りなかったのですが、遠くから見ても非常に綺麗な緑ですね。


<そして帰路へ>

八戸から噂の東北新幹線『はやて』で東京へ。
(行きもはやてでしたけどね)



広い青森県、観たいところを全部回りきれませんでしたが
2泊3日の楽しく有意義な旅行となりました。

初めての青森でしたが青森の人は非常に温かいと思いました。
八戸の駅を降りるといきなり「おもてなし隊」という
JRとはまた別の観光案内がスタンバッていたり、
質問にも丁寧に答えてくれますし声もよくかけてくれます。
何処へ行っても気分良く観光することができました。
巫女さんも(以下自粛)

ただし、これだけは直したほうがいいと思います。



これだと岩木山山弘前城城ですよ。
正しくはMt.IwakiHirosaki Castleかと。


<BGM>
CS版水月オープニング
[ KID ]