第241回:進学塾の今昔(2005/05/02)


私が仕事で出入りしている会社の横に大きめの進学塾があります。
表の看板には「中学受験」と書いてあるので
有名私立中学を目指す小学生対象の塾なのでしょう。

この塾の前を夕方くらいに通ると、
授業を受ける為に通塾してくる小学生達で溢れているのですが、
その光景が我々の頃には考えられなかったもので結構驚かされます。

まず、通塾してくる殆どの小学生は親が車で送っています。
流石に都会ですから気軽に自転車でという訳にはいかないと思いますが、
電車やバスなどの交通網は田舎よりも発達しているのですから
そっちで通塾すれば親の負担は掛からないし何より楽しいでしょうに。
ほら、帰りに寄り道できるし。

で、その親の運転している車がかなりの確率でベンツ。
左ハンドルですよ左ハンドル。
塾の前に横付けされる大量のベンツ(ちょっぴり誇張表現)は圧巻です。
ベンツも昔より気軽に買える時代になっているとは思いますが、
私にとっては今でもブルジョア階級のイメージなのでちょっと萎縮してしまいます。
いや、多分ブルジョア階級の方々ばかりなんでしょうけど。

そして、塾の付近には車や小学生達を誘導する警備員が多数。
横の会社に出入りするようになった当初は、向かいのビルが工事中だったため
そこの工事現場の人が誘導していたのかなあと思っていたのですが、
工事が終わっても同じように立っているので塾専用の警備員なのでしょう。
(確かに塾が開いてない時は立ってない)

極めつけは塾に入っていく小学生。
友達と無駄話することもなく、みんな黙々とビルの中に入っていきます。
塾に入る前から受験戦争だ、みたいな雰囲気を醸し出しています。
ポケモンの本とか片手に持っていてくれれば心も和むのですが、
そんな物を持っている子供は一人もおりません。

意外に思われるかもしれませんが、
私も地元で結構有名な進学塾に小学生の頃から通ってました。
別に私立中学を受験する為ではありませんよ。
その当時は「高校受験に向けて小学校高学年の頃から勉強する」
という姿勢が一般的であり、必然的に私もその流れに乗せられた訳です。

でも、塾へは友達と自転車で無駄話をしながら通いましたし、
塾の周りに殆ど照明はありませんでしたが、
誰かが誘導することもなく平然と自転車で突っ込んでいきましたし、
塾の帰りは夜遅くまで営業しているファーストフードで食い物買って
近くの公園やら空き地やらでみんなで食べながら駄弁りました。
(田舎なのでコンビニはあまり普及していなかった)

まあ、こういう時代になったんだなあと思えばそれまでですが、
私が小中学生の時に通った塾の様子からは考えられない光景なので
いつも横を通るときに好奇の目で眺めてしまう訳です。

小学生の頃からこんな習慣が身に付いているのは
正直言うとちょっと先が怖いような気がします。
多少生意気でもいいので「ポケモンゲットだぜー」とか叫びながら
日が暮れるまで友達と飛び回って欲しいと思うのはもう古い考えなのかなあ。

ちなみに私は中学二年時に塾を辞めさせられています。
英語の先生とどうも合わず、親が呼び出されて「もう面倒見れません」と。
授業中に喧嘩紛いの事が多く他の生徒に迷惑掛けてしまうことになり、
私的にも辞めたいと思っていたところだったので丁度良かったのですが。
周りが高校受験に向けて続々と塾へ通い出す時期に
一人だけ塾を辞めてしまうのは流石にちょっとだけ不安でしたけどね。
その分は野球に打ち込みましたけど。

思えば進学塾の他にも公文とか習字とかエレクトーンにも通っておりましたが、
正直なところ今となってはそっちの方が役に立ってます。
(そりゃ受験勉強なんてその場限りのものですから)

しかし公文で身に付いた暗算力はバカにできませんよ。
子供が生まれたら公文にだけは通わせようと思っています。
女の子だったらピアノも。



<BGM>
Painful Rain
[ MISSINGPARTS SoundTrack / FOG ]