第332回:弾避けエクスタシー(2008/03/03)


ゲームの話をさせると『音ゲー』『エロゲー』の話しかしないように思われがちですが、
実は同レベルで『シューティングゲーム』も好きだったりします。
今『一番好きなゲームジャンルは?』と聞かれたら、間違いなく『音ゲー』と答えると思いますが、
一昔前だったら間違いなく『シューティングゲーム』と答えていたでしょう。

とは言え、神プレイが見せられるほど上手くはありません。
まあ、やりこめばワンコインクリア(1周)まではなんとか……
という普通にシューティングゲーム(以下STG)が好きな人レベルだと思います。

自分がいつSTGの面白さに目覚めたのか、正直その時期は定かではありません。
物心付いた頃には、イトーヨーカドーのゲームコーナーで『ギャラガ』や『ゼビウス』を遊んでましたが、
当時はそれよりも『ディグダグ』の方に嵌っていた記憶がありますので、
果たしてあの時にSTGの面白さに目覚めていたのかは正直疑問だったり。
(まあ、おそらくこの時に基礎となる部分は出来ていたんでしょうけど。)

ただSTGの辛さ(難しさ)、具体的に言うとSTGの重要な要素の1つである
『弾避け』の辛さに目覚めた時期ははっきりと覚えています。

ご存じの方もいらっしゃると思いますが、
1984年にカプコンからアーケード用にリリースされた『エグゼドエグゼス』というSTGがあります。
当時としては珍しい二人同時プレイ可能なSTGで、
自機がパワーアップしたり、敵弾を消せるボムが使えたり、敵をボーナスアイテムに変えたり、
システム的にもなかなか斬新な試みが盛り込まれていて、そこそこのヒット作品となりました。

もう一つ、これまたご存じの方もいらっしゃると思いますが、
この『エグゼドエグゼス』は徳間書店からファミコンに移植されました。
ええ、移植度が酷くて有名なアレですね。
スプライト表示能力の限界を超えてしまい、派手に点滅する敵キャラや敵弾を
「敵のフラッシュ攻撃だ!(=仕様です)」とあっさり言ってのけたのは、
当時クソ生意気なガキだった私も(負の意味で)凄いと唸ってしまったくらいです。
ポケ○ンショックみたいな症状起こした人間が全国に10人くらいいそうな予感がします。
まあ、「ゲーセンのゲームが家でできる」というのはそれなりのステータスがありまして、
移植度がアレでも当時は我慢してプレイできたのですがね。

で、この悪名高きファミコン版の『エグゼドエグゼス』を、
既にゲーセンで遊び倒していた私の兄貴が発売日に買ってきました。
最初は上で書いたように「ゲーセンのゲームが家でできる」ことを素直に喜んだのですけど、
兄貴の提案で一転、弾避けの苦しみへと変わることに。

このファミコン版の『エグゼドエグゼス』ですが、
徳間書店の主導でスコアアタックのイベントを行っておりました。
具体的な数字は忘れてしまいましたが、一定のスコア毎にパスワードが表示され、
それを書いて徳間書店に送ると先着順に『認定証』だか『認定ステッカー』だかが貰えるというもので、
一番高い得点(確か1000万点くらい)だと『純金の認定証(ステッカー)』が貰えたと記憶しています。

要するに兄貴はこのスコアアタックに挑戦しようと言ってきたのです。
しかも一番高い得点の『純金の認定証(ステッカー)』狙い。
それより低い得点でも『認定証(orステッカー)』は貰えたんですよ……純金じゃないだけで。
だけど狙うのは頑なに『純金の認定証(orステッカー)』だと。
ミリ○ネア風に言えば「1000万円しか狙わない」と言ってるようなものですね。
勿論、兄貴には逆らえないということもあり、二人同時プレイでのスコアアタックを了承しました。

……ですが、開始すること約5分くらいで激しく後悔。

普通、STGのスコアアタックなら『弾撃って敵を倒してスコアを稼ぐ』ものです。
なのに普通に弾を撃って敵を倒したら兄貴に怒られました。
何故ならスコアが『2人共通のスコア』ではないから。
私が倒した敵の得点は私のスコアにしかなりません。
兄貴が500万点、私が500万点を稼いでも、それは1000万点と認められないのです。
つまり、どちらかが集中して1000万点を稼がないと駄目だと。

そこで私に課せられた役割は、なんと『囮』。
このゲーム、敵の動きや敵の撃つ弾の動きが非常にシンプルで、
2人プレイの場合は近くにいる方に向かってきたり弾撃ってくる仕様になってました。
1人が囮になれば、もう1人は敵の特攻や敵弾を恐れることなく、
自弾を敵に撃ち込んで点数を稼げるという訳です。

私は敵や敵の弾を引き付けて避ける、ただそれだけの役割を課せられたのです。
つまり、兄貴が1000万点稼ぐまで弾を撃たずひたすら逃げ回るだけの役割を。
あの移植度が酷くて有名なファミコン版『エグゼドエグゼス』で。

結局、目標スコアまであと5〜10万点くらいのところまでは頑張ったのですが、
ボスの弾を避けきれず私がGAMEOVERになってしまい、
その直後に兄貴の自機に向けて猛攻撃が炸裂し健闘も空しくGAMEOVER。
兄貴に思いっ切り頭を小突かれたのであります。超理不尽ですが。

今考えると、2人同時プレイはスコアアタックの対象になっていたのかそもそも疑問ですけど、
とにかく『弾避け』の辛さに目覚めたのはファミコン版『エグゼドエグゼス』だと断言できます。
あれがなければ今の私のSTGスキルは無かったかもしれません。

でも、何時間もずっと敵を引き付けて弾を避けるだけですよ……。
下手したら一生のトラウマになりますって。
えっ?何故、私が一生のトラウマにならなかったかって?

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まあそれは、私がMだからでしょうね。


【追記】
 これを書いた後、ネットで調べてみたのですが、
 貰えるのは『ステッカー』で、純金のステッカーが貰えるのは「900万点」だったそうです。
 ちなみに1000万点でカンスト→0点に戻ってしまい、そうなるとGAMEOVER後にパスワードは出ないそうで。
 知らずに900万点取っても続けてしまった人は発狂したでしょうねぇ……


<BGM>
Soldier Blade Stage3 BGM
[ HUDSON SOFT ]