第334回:頑張ろうゲーセン(2008/03/21)


最近、こんなニュースを目にしました。

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ゲーセンに逆風 大手、店舗閉鎖相次ぐ

 家庭用ゲーム機市場が活況な一方で、ゲームセンター業界には逆風が吹いている。
 07年から08年にかけ、最大手のセガが110店、2位ナムコが約60店の閉鎖を明らかにするなど、各社が次々に店舗網を縮小。
 大ヒットした任天堂の「Wii」などにファミリー客を奪われたのに加え、景気の不透明感も経営を直撃している。

 平日の午後、大阪市北区の商店街。間口10メートルほどのゲームセンターにいたのは男性客4人だけだ。
 薄暗い店内にはたばこの煙が漂う。店員は「常連さんが目に見えて減っている。
 『バイトに入れず金がない』という話を何人からも聞く」と表情を曇らせる。

 ナムコが閉店するのは大半が同じような中小型店。すべての店で採算割れしているわけではないが、
 山形仁・広報グループリーダーは「小型店は採算がとりづらくなっており、追加投資はしづらい」。
 人気のある競馬ゲームやメダルゲームが大型化していることもあり、
 大手各社の新規出店は大規模ショッピングセンター(SC)内など1500平方メートル超の大型店に集中。
 多くは家族連れで楽しめる雰囲気だ。

 小型店の経営を支えてきた20〜30代のファンには、
 平成不況で正社員に就けなかったいわゆる「ロストジェネレーション」が多く含まれているとみられる。
 大手ゲーム会社の幹部は
 「不景気が言われ出した昨年秋ごろから小型店の来客数が目に見えて減り、持ちこたえられなくなった」と打ち明ける。

 一方、各社が力を入れる大型店も収益は悪化傾向にある。
 セガの07年4〜12月のアミューズメント施設売上高は前年同期比11%減(既存店ベース)。
 大型店に特化しているカプコンも同13%減で、「店舗のスクラップ・アンド・ビルドを徹底する」(小田民雄取締役)という。

 大きな原因とみられるのが、06年末に売り出された任天堂「Wii」の大ヒットだ。
 体を動かし、直感的に操作できるゲームはゲームセンターの得意技だったが、
 セガの上田晃一郎・広報部長は「体感型のゲームが楽しめるWiiに、熱心なゲームファン以外のお客さんを取られてしまった」。

 SC内の大型店で最もにぎわうのは、ぬいぐるみなどの景品を取るクレーンゲームのコーナー。
 だが、景品の原価が売り上げの3割程度を占め、一般のゲームに比べて利益率が低く、業績への貢献は期待できない。

 ナムコの山形リーダーは「誰でも遊べるWiiの手軽さに比べ、
 業務用ゲームはヘビーユーザーを意識した難解なものに軸足が移ってしまっていた」と反省する。
 集客の「切り札」として、同社はWiiと連動し家庭で遊んだデータを生かせる業務用ゲームの開発を検討しているという。

 【参考URL】 http://www.asahi.com/life/update/0317/OSK200803170095.html

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私が物心ついた時から現在に至るまで、既に4分の1世紀以上はお世話になっているゲーセン。
私が大学時代の4年間はバイトまでしていたゲーセン。
私が社会人になってからはサボりと時間つぶしの場所として重宝しているゲーセン。
そんなZac.の人生と共にあると言っても過言ではないゲーセンが大ピンチだそうです。

いや、セガやナムコがゲーセンを閉鎖しているのは去年くらいから知っていたんですよ。
私の実家近くにあった妙にシューティングゲームの品揃えが良くて重宝していたセガのゲーセンが、
いつの間にか閉店していて涙を流したことがありまして、
それを機に調べてみたところ、全国各地で閉鎖が相次いでいるとの情報を得ました。
ただ、こうやってニュースにまで取り上げられるほどとは思ってもいませんで。

勿論、ゲーセン自体が盛り上がっていない訳ではないと思います。
古くは『インベーダー』から新しくは『beatmaniaIIDX DJ TROOPERS』まで、
ゲーセンにも『ブーム』というものが上手い具合で変遷しているからです。
簡単に挙げると以下のような感じかと。
(多少の前後や抜けはあるかもしれません)

 『スペースインベーダーブーム』
     ↓
 『ナムコゲーブーム』
     ↓
 『体感ゲームブーム』
     ↓
 『ハイスコア申請ブーム』
     ↓
 『レースゲーブーム』
     ↓
 『UFOキャッチャーブーム』
     ↓
 『第一次格ゲーブーム(スト2)』
     ↓
 『疾風魔法大作戦ブーム』
     ↓
 『第二次格ゲーブーム(バーチャ・鉄拳)』
     ↓
 『月華の剣士ブーム』
     ↓
 『プリント倶楽部ブーム』
     ↓
 『月華の剣士2ブーム』
     ↓
 『音ゲーブーム』
     ↓
 『ネットワーク対戦ゲーブーム』
     ↓
 『カードゲーブーム』
     ↓
    ???

まあ、ライトなものからマニアックなものまで様々ですが、
どれもゲーセンに大量のお金が落とされるまでのブームにはなっていたと思います。
(少なくともゲーセンでバイトしていた『第二次格ゲー〜音ゲー』までは
 大量のお金を落とされるのをこの目で見ておりましたので確実。)

ただ音ゲー以降のブーム、具体的に言うと21世紀に入ってからですか、
同じ大量のお金が落とされるブームでも、その中身は明らかに異なるものになっているかと。

まずお客サイドからすると、上に記載したニュースにも書かれているような
「ゲームがヘビーユーザーを意識した難解でマニアックなものになった」というのがあります。
カードゲームとかルール覚えるまで大変ですからねぇ……しかも覚えるまで金と時間が掛かりますし。
音ゲーとかクイズなどのネットワーク対戦ゲームは、
やっていることこそ単純でルールもすぐに覚えられますが、
古くからプレイしている肥えたユーザを対象にしなければならない側面があるため、
マニアックな部分が出しゃばり過ぎて結果的に『初心者お断り』になってしまいます。

つか、音ゲーやってる身分でこんなこと言うのもアレですが、ニデラはちょっと敷居が高杉晋作ですよ……。
クイズゲームは私自身そんなにやりませんけど、問題と答えを手帳に書くまでやり込んでいて、
問題の一文字目を見たと同時に答えが書けるプレイヤーと一緒に対戦するのもちょっと敷居が高杉晋作。
まあ、少しでも敷居を低くするように制作者側も努力しているとは思うんですけど、
熱心なプレイヤーの成長が早過ぎるというかやり込み度合いが凄過ぎるから意味無いんですよね。
下手に初心者向けにすると、今度はやり込んでいる人達が離れてしまいますし……。

また、ゲーセン経営者サイドからすると、
音ゲー以降のブームはお客がお金を落としても返ってくる利益が少ない、というのがあるでしょう。
筐体の費用、ネットワーク環境などの設備投資・維持費用、メンテナンス費用、
これまでのブームに比べると一台当たりの投資額がバカになりません。

特にカードゲームなんか最早博打に近いものがあると思います。
ブームに乗って雨後の竹の子のように出てきたカードゲームの中の
とてつもなくつまらないゲームを掴まされた日にはもう……ゲーセン潰れますよ。

あとネットワーク対戦ゲームで安心して置ける筐体というのも
今はもう「麻雀」と「クイズ」くらいじゃないですかね。
異彩を放っていた「アイドルマスター」は家庭で出来るようになりましたし。

まあ、ユーザ側から見てもゲーセン側から見ても、
「お金が掛かるゲームが多くなっている」という現状は、業界的にあまり良い傾向ではないですな。
シンプルで幅広いユーザが気軽に遊べるゲームがもっと増えればいいんですけどね。
ディグダグとかマッピーとかゼビウスみたいな……って、これは気軽に遊べないか。

ただ、マニアックで難しくてお金の掛かる敷居の高いゲームは確かに増えましたが、
それが理由でお客さんが減っているとは思いません。
記載したニュースでは、セガの上田晃一郎・広報部長がその部分について

「体感型のゲームが楽しめるWiiに、熱心なゲームファン以外のお客さんを取られてしまった」

と分析しておりますが、これも微妙に違うような気がします。

熱心なゲームファン以外のお客さんを取られてしまったのは、
Wiiよりもむしろネットカフェ・漫画喫茶やパチンコ・パチスロではないでしょうか。
つまり昔に比べると「趣味の多様化」が顕著になってきたと。

まあ「趣味の多様化」と言えば聞こえが良いですが、要するに「暇潰し」の手段が増えたのです。
私の周りにも「暇潰しや時間潰しはゲーセンよりもネットカフェ・漫画喫茶」という人が増えました。
そりゃゲーセンに比べれば快適な環境にいられる上に、
飲み物飲み放題・PC使いたい放題・漫画読み放題とくればそっちを選ぶ気持ちも分かります。

さすがに同等のサービスがゲーセンで出来るとは思えません。
飲み物を出してくれるゲーセンはたまにありますけど、
漫画読み放題よろしくゲームやりたい放題ではゲーセンが潰れてしまいますので。
筐体を時間貸ししてフリープレイにするのが限界でしょうね。
それで採算が取れるかどうかは分かりませんけど。
……となると、ゲーセンに追い風を吹かせるにはヒット作品を期待する……しかないよなぁ、やっぱり。

とまあ、お客もゲーセン経営者もお金が掛かる掛からないはともかくとして、
余程のヒット作品でも出ない限り、この先もしばらくはゲーセンに逆風が吹き続けると思います。
「暇潰し」の手段が増えたこの時代、ゲーセン同士での客の取り合いではなく、
ネットカフェ・漫画喫茶やパチンコ・パチスロとの客の取り合いをしなければならないのですから。
パチンコ・パチスロはやらないのでよく分かりませんが、
ネットカフェ・漫画喫茶はちょっと手強いと思います、正直。

えっ?ヒット作品が望まれるのは今までもずっとそうだったって?
いや確かにそうなんですが、これまで説明してきたように昔に比べると情勢が違いますからね……。
「ヒット作品」ではなく「余程のヒット作品」と書いたところに、その危機感を垣間見て頂ければと。
「ネットカフェや漫画喫茶よりもゲーセンの方がいい」と思わせるヒット作品が必要なのです。

所々話が脱線した感もありますが、とにかくゲーセン大ピンチな状況でZac.も頭が痛いという訳です。
「全国からゲーセンが消える!」という事態にはならないと思いますけど、
「自分のホームが閉店してしまう!」という可能性は秘めている訳で、この先戦々恐々。
もう「Wiiと連動し家庭で遊んだデータを生かせる業務用ゲームの開発」でも何でもいいですから、
現状を打開するようなものをドカーンと出してくださいな、ナムコもセガも。

ま、私は「暇潰しや時間潰しはゲーセン」ということはこの先も変わらないと思いますので、
ホームが閉店しないように頑張ってニデラにお金を落とすことにしましょう。
でも、ニデラが撤去されたらもう行かないぞ。

……なんか本当にまとまってない文章でスミマセン、今回。


<BGM>
少年少女よ、大志を抱け(車輪の国、悠久の少年少女オープニング)
[ THE BEST GAME VOCALS OF あかべぇそふとつう / Five Records ]