第423回:ありがとう、僕のヒーロー(2012/10/02) | |
ヒーローは何があっても負けない・屈しないと思っていました。 過去も現在も未来も変わらぬ姿・強さ・精神力で、 ヒーローはヒーローのままずっとあり続けてくれる……そう思っていました。 ・ ・ ・ ・ 1998年に入団してから14年間の現役生活。 『投球』と『打撃』に華々しいスポットライトが当てられる野球というスポーツの中、 『守備』と『走塁』にも華々しいスポットライトを当ててくれました。 何より野球ファンに『守り勝つ野球』の面白さを教えてくれたのはこの英智選手でした。 36歳というベテランの域に達しても守備や走塁に衰えは全く感じさせない、 むしろ英智選手の場合は『まだ進化の過程にある』と思わずにいられない雰囲気があったのですが、 怪我や年齢的な部分での衰えは着々と忍び寄っていたのでしょう。 そう、僕のヒーローだって、怪我や年齢による衰えには抗えないのが現実なのだ、と。 今日の朝に英智引退の報道を見てから、1日中なんかこうフワフワした感じで 仕事の方もなかなか集中できない状態だったのですが…… 先程球団ブログで公開された引退会見の様子を見て吹っ切れました。 以下、会見の内容です。 (引用元:http://dragons-official.at.webry.info/201210/article_2.html) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 英智選手が名古屋市内で記者会見を開き、今季限りでの現役引退と、来季のコーチ就任を発表しました。 ゴールデングラブ賞を獲得した守備力に、野球に取り組む真摯な姿勢、お立ち台でのユニークな言動など、数々の記憶を残した名選手でした。 笑いあり、涙あり。22分間に及んだ会見に英智選手の思いが込められていました。英智選手の言葉を抜粋してお伝えします。 「本日、14年の選手生活に幕を下ろすことを、ここに報告させていただきます。ありがとうございました。 中日ドラゴンズには星野監督に入団させて頂いて、山田監督に鍛えて頂き、落合監督に見出して頂いて、そして高木監督で幕を閉じるという素晴らしいシナリオできょうに至りました。 生まれてこの方、ドラゴンズのファンでした。まさにテレビを見ている子どもがヒーロー番組の中で変身して、自分が敵と戦っている、そんな夢心地の毎日でした。 強いドラゴンズをつくっていただいた監督、コーチ、並びに故障続きの自分を支えていただいた裏方さん、スタッフの皆さんに大変感謝しています。この場をお借りしてお礼を言いたいと思います。ありがとうございました。 【心境】 正直、まだやれるという気持ちもありますし、よくここまでやった、という自分もいます。その答えを、もし神様に問うてみたら、たぶんどっちの答えを言うか、自分は分かっているつもりです。だけど、神様と会話ができませんので、それは分かりません。 きょうの午前中に、横浜から名古屋に帰ってきて、ナゴヤ球場の監督、コーチ、スタッフの皆さんにあいさつをしましたので、少しすっきりしました。表現豊かな日本語でも、切なくて寂しい、そんな表現しにくい気持ちです。 【決断】 9月27日の横浜戦の日、佐藤球団代表と井手編成担当からコーチの要請を言われまして、ちょっと時間を頂いて考えました。僕はよくベースボールスタイルで例えるので、これは何スタイルだろう、と考えたら「ハンカチ落としスタイル」じゃないかと思って。皆さんに、子どもたちに、なんとなく伝わるのはハンカチ落としではないかと思います。輪になって座って、皆待っていて、もし好きな子が鬼で、自分の後ろにハンカチを落としたならば、うすうす気づいたとしてもじっと前を見て、後ろに手を差し伸べて探ることなく、女の子が肩を叩くのを待つと思います。叩かれて鬼になるのは嫌ですけれども、でも好きな相手なので、どこかホッとして嬉しい気持ちになる。これ、ひょっとしてハンカチ落としと似ている気持ちだな、と思ったので、そこだけは考えてきました。ハンカチ落としスタイルです。 【嬉しかったこと】 一番というのは出てこないんですけれど、最初入ったときに、先ほども言いましたけれど、ドラゴンズファンでしたので、見る人見る人、テレビの中の人で、すごく緊張して、夢心地の毎日でした。 堂上さんの体の大きさとか、今中さんの足の長さ、アレックスの強肩、井端さんのバットコントロール、岩瀬さんの野球盤でいう球が消えるようなスライダー、憲伸さんのセンターから見ていたらファミコンのようなコントロール、タイロン・ウッズのすごいバッティング、腰がひん曲がりそうな和田さんのフルスイングだったりするんですけれど、僕の中でお世辞抜きでずば抜けて度肝を抜かれたのが、谷繁さんの捕ってからのスピードです。他の選手には失礼ですけれど、メジャーに行ったら世界一が見られると思ったんですけれど、これは行かなくてもまさに世界一だと思って。本当に球をポケットに隠し持っているんじゃないか、と思って、何回も谷繁さんのポケットの中を見たのを覚えています。 一番嬉しかったのは、いいプレーをしたときに谷繁さんがホームから指をさして、何も言わないですけれど、ナイスプレーという合図をしてくれたときの映像は今でも覚えています。 あ、世界一、もう一人。世界一のキャッチャーいました。世界一面白いキャッチャー、小田幸平。僕は真面目に、本当にひたむきにやってきたんですけれど、幸平が来てくれたおかげで、いろんな角度から野球を見ることができて、野球が何倍にも好きになったので、感謝しています。 【今季は現役。ポストシーズンへ向けて】 自分も今まで通り戦力として、監督にみてもらえるように、きょうもナゴヤ球場で体を動かしてきましたし、何もそのあたりは変わることなく継続しています。 もちろん、残されたチャンスがある限り、目の前に山がある限り登る。その思いです。 【ファン】 野球は知らないけど英智のファン、と言ってくれる人が多くて、自分でもよく分かりませんけれど、本心の中に、野球選手が一番偉いと思ったら大間違いだ、という気持ちが常にあるので。何の職業の方でも、どんな立場の人でも毎日一生懸命やっていることにかわりはないと思っているので。そこを大切に思って、共感してくださる方が多いのではないかと思いました。 【お立ち台】 お立ち台は、後からついてきたもので、なるべく野球が分からない、野球に興味がない方にも、分かりやすく説明するにはどうしたらいいか、と喋っていただけ。それが面白おかしく届いたのではないかと思います」 会見場から拍手で送られる後姿に、人柄がにじんでいました。 とはいえ、まだ終わってはいません。自ら言うように、今季は現役。ポストシーズンの最後まで全力プレーを誓った英智選手を、最後まで見逃せません―。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 色々な想い出があって、色々書きたいこともあったのですが、これを読んだら言いたいことは一つだけ。 英智選手のファンで良かったです!! ……あ、もう一つありました。 英智の応援歌を歌いながら語らせてください。 『強い風に立ち向かえ 永遠の伝説となれ 熱く走れ英智 そのスピードで』 私にとって、ドラゴンズファンにとって、そしてプロ野球ファンにとって、 記録よりも記憶に残るまさに『永遠の伝説』となった名選手でした。 心の底から『ファンで良かった!』と思える名選手でした。 ありがとう、英智選手!! そしてポストシーズンも夜露死苦、英智選手!! もう一つ、来期の選手育成も夜露死苦、英智コーチ!! これからも変わらず、Zac.は英智を応援します。 【余談】 引退に関して色々と情報を仕入れましたが、 殆どの野球ファンが英智選手の引退を悲しんでくれて嬉しかったです。 (嬉しいというのも何か変なんですけども……) ドラゴンズファンからも他球団ファンからも愛され 「まだできるだろう!」と惜しまれつつユニフォームを脱ぐ…… こういった『引き際』も英智選手らしくて結果的に良かったのかもしれません。 <BGM> 英智応援歌 [ − ] |