第76回:さあ、始めましょうか 其の壱(2001/10/17)


TFAの発売からそろそろ一ヶ月が経ちます。
既にクリアされた方も多いようで、クリア後の感想なんかをよく耳にするようになりました。
良い意味でも悪い意味でも、今回の反響は凄いようですね。
ここだけの話、聞くに耐えられないような事も聞きました。
まあ、EVEという作品を愛して止まない人達だからこそ、
そういった手厳しい意見や感想が出るんだなあと私は解釈しておりますが。

さて、今回は私も感想の一つでも書いてみようと思いました。
DC版ZEROの時に「書く」と宣言しておきながらも、
結局はゲーム自体に手が付かずお流れになってしまったことがありましたし、
EVE系サイト管理者がどんな考えを持ったのか、興味のある方もいらっしゃるでしょう。

ただ、クリアされていない方も考慮に入れて、発売から一ヶ月経ったら書こうかなと考えていました。
まあ攻略を扱うサイトという性質上、
あまりストーリーに関する感想を早々と書くのはやっぱり気が引けるので、
システム面に焦点を絞って展開していきたいと思います。

<各種システム>

1.タッチャブルビューシステム

とりあえず、画面上のオブジェクトをクリックするシステム(タッチャブルビューシステム)自体は
私的に別にそんなに悪いものではないと思います。
今まで「見る・調べる」→「机」や「話す」→「弥生」としていた二ステップを、
一回のクリックで済むようにしている訳で、
これだけ考えると『システムの向上』と断言できる説得力はあります。
ただし、それは飽くまでシステムを補助する適切な処置が施され、
ユーザーがシステムの向上を肌で実感する事によって初めて言えるものです。

残念ながら、TFAではこのタッチャブルビューシステムというものを
上手く昇華できていないと思いました。
正直申しますと、ADAMよりも落ちるのは勿論ですが、
今までのコマンド選択型の方がまだユーザーライクなシステムだったかなあ、と。

一番の要因は、オブジェクトに付随するワイヤーフレームの枠線がTFAに無かった事だと考えます。
ADAMにあった緑色の枠線ですね。
ADAM未プレイの方の為に補足しますと、
例えば机の上にカーソルを持っていったとき、
机の部分を緑の枠線で強調してクリックポイントを示してくれました。
これが「ここが机だよ、クリックできるよ」という目安になったのです。

TFAではダーツの先に的みたいな丸いヤツがフヨフヨ浮くのですが、
細かい部分の選択が非常に分かり難くイライラすることもしばしば。
また、ワイヤーフレームが出ない事で
何処が選択できる対象になっているのか判断し難くなってしまいました。
ユカ父親の書斎にある机なんかを例に挙げると、
『何処までが机か判別し難く、引出しが選択対象なのか一目で分からない』、
なんて現象が起こる訳です。
私のようなゲーム慣れしていてADAMもプレイ済みで要領が分かっている人間なら兎も角、
ゲームに慣れていない人を想定すると、ちょっと配慮が足りない気がします。

ADAMにおけるシステムはほぼ完成に等しいものだと私は思ってたんですけどね。
(細かな不満点はありますけど)
ベースとなるものが無いのならまだしも、
ADAMというベースがあって何故ワイヤーフレームを採用しなかったのか、非常に謎です。
これがあればかなりユーザーライクなシステムだったのになあ。
正直、5月から9月に発売日が延びたのがワイヤーフレームを取り入れる為だったのなら、
大賛成しましたけどね。

『最高の食材を用意してもらったのに上手く調理できなかった』、そんな感じを受けました。

2.メッセージ再読機能

無かったですね。
それとも私の見落としでしょうか。

再読機能ってもう一度会話の内容を振り返ってみたい時によく使います。
特にEVEの会話って専門用語がバリバリ飛び交いますから、
一回読んだだけでは「??」な内容もあったりします。
なので、ちょっと付けて欲しかったですね。
これがあるのとないので、かなり物語の理解の早さが変わったと思います。

3.サイトチェンジ

サイトチェンジする時に自動保存してくれますね。
これでサイトチェンジ時にセーブし忘れて泣きを見る、ということが起きません。
まあ、これがサイトチェンジオペレーションにおいては一応の完成系かと思います。
読みこみ時間もZEROに比べて格段に上がってましたしね。

4.場所移動

あ、これだけは強く言わせてください。
全然ダメです。
ちっともユーザーライクではありません。

大きな原因は「統一感の無さ」。
△ボタン一発で出れる所もあれば、△ボタンでメニューを出して移動場所を選ぶのもあり、
さらには画面の下方や森の中をクリックしないと移動できない場所もありました。
(F&D社からの移動や中央公園の発見なんて、スムーズに見つけられる人の方が少ないです)
結局、△ボタンでメニューを出して移動場所を選ばせるようにすれば良かったと思います。
確かに移動場所が一箇所しかないところは面倒かもしれませんが、
統一性が無くその為に進行が止まってしまうよりは全然マシではないでしょうか。
事実、F&D社廊下から外に出る方法、中央公園に入る方法、中央公園から出る方法、
この3つに関して詰まった方って結構いらっしゃると思います。
推理に失敗して詰まるなら兎も角、移動方法が見つからないとかで詰まるのは、
ゲーム内容ではなくゲームとして問題があるような気がしますが。

正直、テストプレイヤーから指摘されなかったのかなあ、って疑問に思います。
指摘されても聞き流したのかなあ・・・
その辺は大人の事情よね、統一感の無さが面白いって人もいるでしょうし。

5.セーブ・ロード

その場でのセーブはメモリーカードに一つしか出来ません。
その代わり、チャプター毎にセーブされます。
なので、自分の好きな場面で容易にセーブすることができません。

私、これに関しては良いんだか悪いんだか未だに判断できていません。
多分、チャプター分けしたのにも理由があると思うのですが、
今のところその理由は分からず終いです。

少なくとも言えるのは、
弥生名場面集が作れなくて悔しい
ということ。

<オプション設定項目>

一通り、必要なものは揃っているかと思います。
特に付け足して欲しいものもありません。

実に無難な仕上がりです。
ADVならこんなもんですかね

<読みこみ>

人が喋る時にいちいち読みこむのは仕方ないでしょう。
ただ、フェイスウィンドウの表情が変わるのと重なるとちょっと重く感じる時がありました。

あとは特に気になるところはありませんでしたね。
セーブロードの時間もPS版ZEROに比べて格段に速くなっていますし、
画面の切り替え時の読みこみ時間も全然ストレスは感じませんでした。

及第点と言えるのではないでしょうか。
あ、ちなみに私はPS2(ディスク読みこみ速度:標準)でプレイしています。

<PS2互換性>

あんまりありませんでしたね、よくフリーズしました。
掲示板にもかなり書き込まれましたし、相当の人が止まったようですね。
でも、プラットフォームがPSの作品なので、
PSと互換性のあるPS2と言えども多少の不具合は仕方ないでしょう。
むしろ、私は互換性があるだけで感謝しております。

ただし、エラーメッセージを表示させて止まってしまうのだけはいただけませんね。
ただフリーズしてしまうなら兎も角、はっきりとエラーと分かってのフリーズは、
明らかにデバッグ作業不足だと思います。
PS2での起動テストくらいは普通するでしょう。
エラーメッセージが出たのが極少数ならまだしも、かなりの人からの指摘がありましたし。

PS2完全互換じゃないのには目を瞑りますが、
エラーメッセージが表示されてのフリーズは問題ありかと思います。
私だったらデバッグ責任者の首を切りますわ。

<操作性>

ベースとなったADAMはパソコンゲームのため、基本的に「マウスによる操作」を想定しています。
TFAはそれをそのまま持ってきた感じになっていました。
アナログコントローラでカーソルを動かせるようにすることで、
マウスのようなアナログ操作感を出そうとしていたのだと思いますが、
あまり使い易くはなかったです。
この辺は慣れなんでしょうね。

また、タッチャブルビューシステムの所で少々触れましたが、
かなり細かい部分のオブジェクトが選択し辛いですね。

あと、SAVE・LOAD・OPTIONへの入り方は、
コントローラーという特性を生かした良いオペレーションだと評価しています。

<グラフィック>

PSで一枚絵ですから、クオリティは問題ありません。
ムービーもそんなに粗くは感じませんでした。

ただ、一つだけ。
弥生が台所で料理を作っているときの表情がADAMに比べて豊かになっているのですが、
GALLERYモードでは二種類しか見れません。
・・・どーいうことなんでしょう。
ま、あんまし関係ないことかもしれませんけどね。

<サウンド>

元々ADAMの曲が良かったですからね、
基本的に同じ楽曲が使われているTFAも勿論良いです。
ちなみに『MEMORY』(サウンドモードの04曲目)は
LOSTのエンディング並にお気に入り。

<パッケージデザイン>

限定版と通常版でパッケージの絵柄が異なります。
通常版は飾っても絵になるような感じがしますが、限定版は私的に厳しいですね。
理由はキャラの躍動感が感じられないということ。
限定版のパッケージを飾る4人(まりな・小次郎・ユカ・貴史)は
ただその場に置かれてポーズを取っているだけのように見えます。
もう少し拘って欲しかったなあ、というのが正直な意見です。

あ、通常版のはOKです。

<総合評価>

まあ、ユーザーライクでない部分が多々見受けられましたが、
総合的に見れば「まあこんなもんなのかな」ってところです。

ただし!!
発売日を約5ヶ月も延期してもこれだけ粗が見えた、というのは情けなく思います。
ユーザーにより満足してもらえる作品を作る為の延期であれば、
もう少しマシにできたんじゃないかなあ、と正直な所思ったりしました。
延期した5ヶ月の間って何やってたんでしょうね・・・。



ま、飽くまで私個人の意見です。
システムに全然ストレスを感じなかった人も勿論いらっしゃるでしょう。
そういう方は「ああ、こういう風に感じる人もいるんだなあ」くらいに流してください。
ちなみに、こういう部分に敏感になってしまうのは職業病なので御了承願います。

さて、今度はストーリーについての感想を述べたいと思います。
TFA発売から一ヶ月なので10/27以降になりますね。
期待されている方(いるのか?)、今しばらく御待ち下さい。